正月明けて7日。実に15年ぶりに浦辺さんちに行った。まだ僕がこの世界に入りたて31才の頃だった、と思うので15年ではなくもっと昔! 春先の新しい企画のための取材で行ったのだが、自分があっけからんと満面笑顔で行動するのかと思ったのだが実は始終緊張していた。
それは浦辺さんの生き方が最初に会った頃と寸分たがわず、その上に年齢を重ねた表情があって、だいぶ色々なことも経験し、変化の大きかった自分が今たどり着いている地点がどうしようもなく遠いような悲しさというか、じい~んとするものこみ上げてくるものを(ウソじゃなく)こらえ続けていたような気がするからだった。だからコトバでコミュニケートしようとも思わなかったし、うまくいえないが、ハラの中で会話していたような気がする。
浦辺さんは、種子島に住んでいる。菜穂子さんとふたりで有機農業をやっている。この島でしか穫れない安納芋をつくり、自家用にはサトウキビもつくったりする。2頭の馬を飼っていて、あとは何してるんだろうか。海に出ては魚も突くし、たぶん田んぼもやっているんだろう。そうだバナナもやっている。限りなく自給に近い暮らし。暮らしを手づくりする暮らしを、暮らしている。
畑に行き、部屋で話を聞き、夜になったら酒を飲み、その間中、サケを飲んでいた。ぷしゅっ、ぷしゅっと、缶ビールを空けていた。しじゅう笑いながら、おおシワも増えたなぁ、日に焼けて。
たった1日。翌日朝6時のトッピーで鹿児島に帰った。