春の詩、あったよ

yakuhama

屋久島 尾の間あたりの浜辺

ふとそのページに目がとまった。
もう春のお彼岸も近いんだなと、その春のかけがえのなさを感じた。
その春の時間、今の春の時間を感じた。
亡くなられて久しい、山尾三省さんの詩です。

青草の中のお弁当

春の彼岸の二日目
風はまだ冷めたかったが、上々のお天気だったので
庭の青草にゴザを敷いて
お昼を弁当にすることになった

一才一ヶ月のすみれちゃんの いのち
三才四ヶ月の海ちゃんの いのち
三十七才の春美さんの いのち
五十四才の僕の いのち
四つのいのちが
青草に囲まれ 明るすぎるほどの光の中で
楽しく賑やかに お弁当を食べた

家族ほどよいものは
たのしくお弁当を食べる家族ほどよいものは
この世界に ふたつとはない

食べ終わって
チビちゃんたちは草の中で遊び
春美さんと僕はごろりと仰向けになって 光を浴びた
光を浴びながら僕は
金木犀の新芽は
ひとときも静止することなく かすかな風に揺れつづけている
という 大発見をした

山尾三省 詩集『三光鳥 暮らすことの讃歌』より

三光鳥は、三省さんによると、月 日 星 ポイポイポイ
と鳴くんだそうだ。

Posted on 水曜日, 3月 14th, 2012 at 12:05 AM

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