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旅の2日目は國友さんに連れて行ってもらい、椿山というところへ。郷土史研究家の広谷喜十郎先生と、いの町のギャラリー素朴堂草流舎、田村さんもいっしょだ。名前は知ってるけどみんな行ったことがないところ、なんだそうで、NHKのドキュメンタリーで、昭和の終わりまで焼畑農耕をしていた集落、ということで有名になったとか。

“つばきやま”でも“ちんざん”でもなくて“つばやま”と読む。位置的には高知市と愛媛の松山市のちょうど中間、西日本最高峰、標高1982mの石鎚山塊の南面、深く急峻な谷を見下ろす標高600mの天空の地にある。林業が盛んだった明治のころには250人ほどの集落で小学校もあったそうだが、今はたった2人のご高齢のおばあさんが暮らす、限界集落をこえてしまった集落だ。

この土地で、7月下旬、ジョン・ムーアさんという外国の方が、社団法人「シーズ・オブ・ライフ」を立ち上げたそうだ。新聞によるとここ椿山は在来種の宝庫なのだそうだが、ムーアさんはここに住まわれている方々(といってもおばあちゃんお2人)から種を分けてもらい、空き家を借り在来種の大豆やジャガイモ、キュウリ、綿などを栽培しているとのことだ。 この記事は僕も知っていて、少し期待しつつ訪れることになったのだけど、そんな宣伝文句どこふく風、ここには小さな集落が佇んでいるのみであった。住んでいるのではなくて、時々こちらに来るスタイル、というのもあとで知った。ともあれ、良きことに思いを馳せ、この椿山が良い方向に進めたいというムーアさんの志をすばらしいと思う。


車を降りてすぐに、ワンちゃんお散歩中のおばあちゃんに出くわす。こちらの平野さんのお宅を尋ねる。聞くとここに住んでいるのは3人じゃなくて2人だそうで、昔は人がたくさん住んでいたが、昔は小学校があって子どもも40人ぐらいいたんだよと。

椿山といえば、お茶はツバキ科。この山里にチャノキはあるかというと、斜面の生け垣には茶がへばりついている、そこかしこ、道ばたに、空き地に茶が生えている、花は咲き誇っている、茶の実はほころんでいる。濃い濃いとても濃いお茶影がそこらじゅうの、そこはヤマチャの桃源郷のような場所。きょろきょろチャノキを眺めつつ、家屋がだんだんに折り重なる小径を降りていくと、菜園で畑仕事をしていた平野おばあちゃんにご挨拶。相当のご年配とお見受けしたが気丈そのもの、かったつな笑顔で、ひととき、山のお話しを伺うことができた……

(続く)


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林道をかなり登って見下ろした集落

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