平野おばあちゃんのところで腰を下ろして、世間話。
つらつらと、おばあちゃんが普段飲む釜炒り茶のお話しになった……
●釜炒り茶のお話し●
植えちょるのはやぶきた。自然に生えちゅうのはヤマチャ。
種でそこらへん生えているのがヤマチャ。
これちょっと火であぶっちょいて飲みよりましたわよ。
おいしいよ。
煎茶いうてやってきたお茶はねぇ、
80℃とか低い温度で淹れんといけんですがね、沸かしたらいかんが。
私らがつくっちゅうお茶は、山で作った釜炒りはね、
沸きゆうところにね、葉をいれんといかんけんのよ。
お茶を摘むんはねぇ、芽が早よう出たら5月初めに、遅くなったらおそうなり。
年によっておいしかったり、いまくいかんかったり、いろいろ。
私らはようけじゃないき、自分で飲むだけ。
だから自分とこで釜でやるんです。ほかの人は工場にお願いする。
45kで1万円とられるき、自分でやるんです。
炒る釜は大きい三椏(みつまた)蒸しちょったお釜じゃいね、
家の中で炒りよります。
火を焚いてお釜がぬくもったら、入れてね、炒るんです。
木の股になったので、混ぜる。黒文字の股になったので、
昔じいさんがつくったのを、細い、股になったので、ね、混ぜる。
みんな三椏の股になったのでやるが、あんなんじゃようけやらんきね。
私は炒る、息子が揉むんで。
お茶は、昔の人は足で踏んで揉んでいた。
莚の上で、ヨギ切っちょいて足で揉む。
切らんと団子になるき、切る。切れば細長ごうに揉めるんです。
ヨギを揉み込んだらおいしゅうないの。
息子が揉むんですが、高いところから落として、
ヨギを切っちゅうてから揉むと団子にならず、細うに揉める。
団子になると茶ける、茶色くなるきね。
茶けたらおいしゅうないの。広げても中が乾かんきね。
これね、干しよってから1回また揉み直す。
お釜には戻さんけど、ちょっと乾いたときにもう一度揉みなおす。
そうひたらね、がらがらになったらね、
ほうでて揉めんでいけんけどね、ちょっと乾いたときにね、
揉み直ひたらね、きれいにええ茶ができる。味が違うんです。
(続く)