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今年試作したよーと九州から送っていただいた紅茶を飲み比べしてみた。苗から無農薬無肥料で大事に育ててきたべにふうきを、今年はじめて紅茶にしたものだそうだ。

べにふうき紅茶でおいしいなと思っているのが、鹿児島の枕崎紅茶と奈良の月ヶ瀬健康茶園。2012年のものが両方あったので、月ヶ瀬と飲み比べ。……いやはや、これは遜色なかった、たいしたもんだなぁと感心しました。うまかったー!

べにふうきという品種は、この品種に多く含まれる「メチル化カテキン」という成分が花粉症に効くとわかってからどーんと広まった。紅茶用品種なんだけど、紅茶だと成分が失活するからと緑茶でブレイク。それはそれとして、紅茶用品種というものは、国内ではべにふうきのほか、べにひかり、べにほまれ、ただにしき、べにかおり、べにふじなど、いろいろつくられてきたようです。紅茶用という意味合いから「べに」とつくものが多い。ところが。

国産の紅茶生産は、明治以降国際競争や戦争、様々な政治状況が変化していった中にあって、地道につくり続けられてきたようだ。戦後は品種登録制度が始まり、1960年代に紅茶の国産自給が掲げられたのだけど、1971年には紅茶の輸入が自由化されて、その時点でぱたっとつくる農家が激減、いなくなってしまうのです。そこまでにつくられてきた紅茶用品種も、消費者の目に触れることなく日の目を見なくなってしまった。そんなことから、「べにひかり」という品種は、幻の品種と呼ばれたりする。さもありなん。良い形質の品種も、栽培と製茶の技術が磨かれて、同時に、紅茶を嗜む消費者が良く育ってはじめて根付くのだし、品種が開発されただけではと、関係の人はきっと無念だったと思う。

僕は煎茶一辺倒とか、やぶきた一辺倒、深蒸し一辺倒の日本のお茶の状況がいやだなあと思って、その一辺倒に覆い尽くされたような中から、そうではない、もっと暮らしに根付いたお茶、地域に根付いたお茶、そして創意と工夫に溢れたお茶を追いかけている。品種のことは、あまり深堀りしたくはないけれど、紅茶において、日本の全国のお茶農家が、自分のお茶を見つけようとする姿勢とロマンには、とてもまぶしいものを感じます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAもっちりとしたべにふうきの秋芽(月ヶ瀬にて)

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