OLYMPUS DIGITAL CAMERA

出会うとは思っていなかったお茶。ハンズ茶をいただいた。先日、三重県のMKさんから、とってもたくさんのお茶が届いて、今日はそのなかからひとつをと選んだのがこのお茶で、袋に「松元はんず茶」、一瞬「!」。なんとこのお茶はおそらく、釜炒りならぬ「瓶(かめ)炒り」のお茶。

でもそんなお茶が入手できるのかなと。僕が葉を観ても、実物にお目にかかったことがないんだからわからない。ただ、揃った暗緑の葉はよく炒れており、落ちついた豆系の香り。釜炒りのようなよじれは弱くて、手もみっぽいし手炒りな感じ。もしやと思って、昔何度も読んだ、中村羊一郎さんの『番茶と日本人』を読み返すと……

ここでは水瓶のことをハンズと呼ぶ。近くの美山町の窯元産で、技術の伝来を物語るように、朝鮮焼きともいう。使っているうちに、ヒビが入って水が漏れるようになったハンズで、茶を炒るのである松元町および隣接する伊集院町では、以前はどこの家でも自家用の番茶をハンズで炒って作っていた。松元町は茶生産に力を入れているが、それはすべて蒸し製の煎茶であり、ハンズ茶は今や文化財的な存在となっている……

なんと松元とあるではないか。やっぱり!

ということでそそくさ淹れてみる。こういうお茶っ葉は適量を熱湯で、葉が完全に開くまで10分は出し切っていただく。と。開いた葉はもっさり葉厚の若葉で茎はない。香りは豆系の香ばしさが失われず、水色は黄に傾いて透明。収斂味、苦味はほとんどなく、ボディはほんの少しアミノ酸系あるなという感じで、なかなかいけました。これをもう30分おいて、冷茶でがぶがぶっと。おいしい!僕はこういうお茶も好き。

九州は何度となく通って、昔ながらのお茶の縁を辿ろうと嗅覚を鍛えてはきたつもり。でも鹿児島はついぞそれらしき匂いをつかむことがなかった。通っていたのは薩摩半島ばかりだったから、開聞岳の麓にひろがる広大な近代茶畑のイメージが強かった。釜炒り茶など、地元の人に何度か聞いたが作っている話は伺えず。だから、この出合いはうれしかった。

相当に特殊な炒り方だし、あまりにも効率の悪いものだから、つくる人はきっと、あまりにもわずかだろう。だからどうということなのかどうか。でも、西郷さんとか、島津家の方々は、どんなお茶を飲んでおられたんだろう。今の知覧のようなお茶ではなかっただろうし、かといって、独立心の強い薩摩だから、隣藩と同様な釜炒り茶でもなく、ハンズ、でもないような……

あと何日かかるかな、MKコレクションありがとう!
image

tags / , ,

«                   »

Leave a Reply