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南風は暑いもの湿ったものと思いこんでいたが、ここのところ一定して吹いてくる風は、湿り気を帯びているけれど、涼しい。その風、今日などは特に強く吹いて、ベランダのヨシズがめくれ上がって飛んでいきそうなほど。それでも気持ちがいいので、やや狭いけれど、ベランダでランチを楽しんだりして。そんなのどかな一日の終わり、騒々しいような夏とは違う感覚に気分が落ち着いたのか、先日、狭山のお茶農家の方に譲っていただいた紅茶の封を開けた。その方のお名前は極茶人こと比留間嘉章さん。7月6日に摘んだ、今年の2番茶。まだ大袋に寝かせてあって、ラベルも貼ってなかったもの。開けるときれいに整った品のいい葉姿、品種は「とよか」と伺った。

しっかり発酵させてあるオーソドックスなものと思い、ガラスの茶壺で熱湯5分をめやすにしていただいた。

良いお茶でした。湯を注ぐそばから紅茶らしい芳香が立ち上る。色の出が素直で速い。高まった期待の味わいは、酸っぱかったり焙じ茶みたいな国産ものとは全く違う、一線上を行っていた、さすがに。茶葉は機械摘みとはいえ細やかで揃い良く美しい。やるべきことを、手を抜かずにやっている、これだけでもうれしい。しっかり揉まれているからか、パンチがあって強めのシブ味が香りにも上る。水色は深く落ち着いた紅茶色で、茶温が下がるとややとろんとなってくるけれど、ボディを縫って素性のいい品種香(と思う)が絡んできて、これが不思議な甘い、わずかにエスニックさ(?)を含むような香り。この味と香りのバランスが強い印象になりました。

比留間さんのblogを拝見したら、このお茶にちょっとだけ触れていた。これほどのミル芽を紅茶用に機械で摘んだことはない・・・、とのこと。ミル芽だったんだ。香りの発揚はじゅうぶん、というより、ボディの強いお茶だと思ったけれど。もしかして、揉みが強いんじゃなく、生長もう少し待ったら、香りがもっと高まったかもしれないということ? 結果論だが、7月6日以前の天候が紅茶によかったかどうか。とすれば……!

飲み足りず、無造作に2煎目。というか、内質を知りたいと思い、出がらし1時間の冷め茶で飲んだら、これがすっきりとうまい。イヤ味が出ない。水色は薄らぐもまだしっかりと出ていて、きれいに収斂味が飛んで。

お茶のふところはとてつもなく広いなぁ。伺った日は突然アポなしにもかかわらず、わざわざお相手をしてくださり、しかもまだ販売していなかったお茶を出してくれたり、お世話になりました。ありがとうございました。

※写真真っ暗で失礼。比留間さんのセンスにあやかりたいと思ったからか、ぼろ隠し?

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