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朝夕はさすがに涼しく、空にはいわし雲。白露を過ぎて仲秋までにあと1週といえば、季節は秋に。今日は、8月の初旬に静岡の梅が島でつくった自家製烏龍茶をいただいた。

その暑い日、梅が島に到着したのは昼過ぎで、着くなり籠を受け取って、Yさんの在来の畑でお茶を摘んだ。小一時間で籠一杯になった葉っぱは間髪を置かず、カレイ(大きなざる)に広げて日光萎凋。天気が良かったこの日は40分ほどで室内に下げ、日の当たらないところで、時々葉を揺らしながら、萎凋を続けた。

萎凋というのは、お茶の葉っぱを萎れさせて、水分を飛ばしていくこと。それと香りの発揚。日本茶の業界が否定し、構造的組織的に、長く封印してきた工程だ(書くと長いのでここまで)。

ぜひ体験してほしい。萎凋によってしんなりした葉っぱは花のような良い香りを発するのだけど、このすばらしい香りを知っている人は少ないと思う。この変化は、よくお茶に含まれる酸化酵素によるものと言われるが、この段階で立ち上る香りは、酸化させてはだめで、ジャスモン酸など、ホルモン反応みたいな変化で生じさせるべきものだと考えるようになった(書くと長いのでここまで)。

今年は春から自分でお茶の手づくりを何度も繰り返していて、感覚は僕もそれなりにつかみ始めていた。とにかく萎凋はそおっと。このデリケートさは摘む段階、いや育てる段階からすべてに求められることなので簡単ではないから、僕が作るお茶などなんちゃっての域を出ない。それでも“そおっと”葉っぱを揺らしては、花の香りが次第に強くなってくるのはうれしいものだ。

仕上がりまでの写真はいくつか撮ったので、詳しくはいつかまた書きたいが、とにかく1時半に茶摘みを始め、途中経過をFBで報告していたら、なんと台湾の長生製茶廠、林和春さんがアドバイスしてくれたり、なかなか楽しいお茶づくり。炒る揉む、炒る揉むを繰り返し、へとへとになって、鉄釜のプロパンを落としたのは夜中の3時ごろ。できたのがこのお茶です。

揉みが甘い、雑味があるといえばあるし、乾燥も十分ではない。でも1か月おいて飲んで、思ったよりいい感じになっている。いい香り。じっくり炭火で焦がさないように焙じれば、昔の烏龍茶みたくなりそうだ。おいしいおいしい(書くと長いのでここまで)。
このお茶をYさんと飲んで色々と話をした。するとおもむろに本を持ってきて、「これ読んどけや」と。題名は『台湾の茶』(徐英祥)。4年前に大御所26さんと台湾に行ったときに買ったそうだ。しかも依田さん、現地では文山包種茶の実習もこなしていた。この本に台湾の野生茶の話が出ているのだけど、今は製法を読み返しているところ。ちなみに、触発されたかYさんもなかなかの試作茶をつくり始めたが、書くと長いのでここまで(笑)。

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徐先生は一昨年ご逝去されました。
つつしんで ご冥福をお祈りします。
本は清水一芳園さんで販売されていたようですが、現在は品切れ中。残念!

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