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晩秋、茶葉はこわばっているし、風も冷たくなってきた。畦畔のお茶に花が咲き始めたので摘んでみたら、それは江戸の図案のままに、花があり、つぼみがある姿だった。

お茶の花は、ぽつぽつと白い小さな毬のようなつぼみができて、ふくらんでいく。ああ大きくなってるなぁと思っているうちに、花になって咲き出す。葉うらに隠れてぽつりぽつりと控えめに、下を向いて咲くので、咲き始めがわからない。遠目から咲いて見えるものは必ず開きすぎで、透明感をたたえた可憐な、つぼみの花は、奥のほうにたたずんでいる。その奥ゆかしさ、あまりにも日本的な美しさにはっとした。

この花が実になっても植えられることがないのは、ほかの野菜たちと同じ。野菜ならばF1品種といって栽培した野菜からはちゃんとした野菜ができないとか、お茶ならば雑種にしかならないばかりか、そもそも種まきしてお茶を植えるなど昔の話だ。日本ではは挿し木のクローンのお茶が大勢を占めている。日本の茶畑でお茶の花を見ないのは、花咲く枝が花を咲かす前に刈り落とすからでもある。

それでも畦畔に、お茶畑の脇に、お茶の花は咲いている。

花茶といえばジャスミンに金木犀、茶の葉に香りを移してつくるけれど、この「お茶の花」そのものを乾燥させて煎じていただくこともあったそうだ。鼻を近づけて香りを嗅ぐと、包種茶、烏龍茶でいわれる花香とも違う、まったく別の香りがした。あ、石鹸みたいな香りだ、といえば、思い出したのが紅茶の権威、T先生のお話しだった。あるお茶農家が自分の茶畑に咲いた花の蕾を集めて持ってきていて、先生は、お茶の花にはサポニンが含まれているんだよと、これに湯を注ぎ、ササラで泡立てる。ああサポニン。サポニンはシャボンだから、だから石鹸の香りがするのかな。お茶の花。allabout に少し。茶の花を飲む。おいしいのかな?

お茶の花、日向ぼっこでお茶をする
眺めて楽しみ、香りを楽しみ

ほっこりとした秋のひとときでした。

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