しゃおしゃんこと前田千香子さんの「気仙茶」をいただくお茶会に。被災した東北の、悲しさだけではなくすばらしさも伝えたいと2012年の春から続いている「東北銘菓フェス」を企画した小関祥子さんが気仙茶に会いに行ったのは去年のことだったそうです。その特別編として開かれたのが今回の「気仙茶の話を聞こう」。前田さんにお会いしたのは2ヶ月ぶりです。

3年前の震災で存続が危ぶまれ、地元有志のみなさんの手で見事復活した気仙茶。岩手県陸前高田周辺で古くから栽培されてきたお茶で、震災前から気仙茶とのお付き合いをしてきたのが前田さん。現在「気仙茶の会」の事務局として取り組みに関わり、お茶畑の整備やお茶づくり、そのお茶のすばらしさを、お茶会やメディアへの情報発信などで伝えています。

気仙というのは地域の名前で、宮城県北岸の気仙沼から岩手県南岸の陸前高田、大船渡の一帯をさす。古い在来実生のお茶畑が多く残る気仙では、お茶は自給があたり前。域外に出ることもほとんどなく、暮らしのお茶として、長い年月を重ねてきました。

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空気もひんやり、さわやかな秋の朝。東京根津のお寺でいただいたお茶は、今春6月収穫、火入れ前の蒸製煎茶に紅茶、そして今年の気仙茶を前田さんが焙じて仕上げたものの3種。茶壺&聞香杯でいただいた。五感さわやか、キリっとした気分で気仙茶を香り、味わうことができました。

最初の煎、淡く入った2014春茶は今日のお天気のようにさわやか。ほのかな香りが、朝の気に際立つ。次の紅茶。おばあちゃんたちが思いを込め摘んだのに、工場に持ち込むまでに発酵して使えない葉っぱが出てしまったそうです。これを居合わせた茶師の大山さん(しもきた茶苑)の機転で紅茶に。最初の煎茶同様、嫌味のないさっぱりとした素朴な紅茶でした。

最後にしゃおしゃん焙気仙茶。焙じることで葉の性格がくっきり出てきます。水色も落ち着いて若々しさはほどけ、厚みのある香り。前田さんいわく「余韻のあるお茶」。聞香杯にとどまる香りが、冷めた後も長く続きました。

お茶替えのまには、東北の菓子がぽんぽんと2種。お茶をしながらのお話も楽しく、東北のお菓子もおいしかった~(^^)

いただいたすてきなパンフレットには気仙茶のことや東北の和菓子がわかりやすく書いてあっていい感じ

いただいたすてきなパンフレットには気仙茶のことや東北の和菓子がわかりやすく書いてあっていい感じ

…在来のお茶は改良されていないお茶ということで、香りは淡くムラも出やすく、プロの農家の方々からは敬遠されがちです。けれど在来の木は種から育ち、その土地に深く根を張って育ちます。その土地の風土に根ざした、その土地ならではの味わいがきっとあるはずですが、その表現はなかなか難しい。今回のいただき方は、そんなお茶の良さが表れていました。在来古木のお茶が秘めている魅力は、こちらからお茶を訪ねることで、感じさせてもらうものなんだということを受け取った気がします。

お茶について前田さんは、気仙茶の、自家用のお茶としてのかけがえなさを教えてくれます。気仙のお茶が、そこに暮らす人々の思い出と一緒にあるものだということ。在来のお茶は、お茶として楽しみ、さらにはお茶を通して地域や自然を受け取るものです。四季を通じて暮らしに結ばれ、思い出として地域の人々の心に刻まれている。在来のお茶は、そういう全体性からこそくっきりと浮き出し、わたしのこと、わたしたちのこととして蘇ってきます…。だからこそお茶。今、気仙茶のお話の聞き書きを進めているとのことで、すばらしいなと感心しています。

とてもうれしい、心の栄養いただけたお茶会。企画していただいた小関さん、そして前田さん、ありがとうございました!

小関祥子さんのblog「cutter & paste」
http://skksk.exblog.jp/i10/

焙茶工房しゃおしゃん
http://www8.plala.or.jp/xiaoxiang/

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