栂尾のお茶

02 月 10 日



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保管の状態も悪かったのに、試しにと飲んでみた高山寺のお茶がおいしかった。香りはさすがに清涼な新茶の緑っぽいものは消えている。が、そのぶん内質が乾いた感じで熟成され、淡い香りと爽やかなタンニンを押し出してくる。これが長く続いて5煎ほど楽しんだころには喉の奥が甘く香り始めて、これを書いている今も喉でお茶を楽しめているのです。

山の寺で、茶園は杉の木陰にひっそり佇んでいたことを思い出す。

高山寺は明恵上人を開祖として、あの鳥獣戯画を伝える京都栂尾の名刹。そこに日本最古と称される茶園があって、毎年春に茶摘みが行われる。ほんの5畝ほどの小さな茶園で、このとき摘んだお茶が宇治の吉田銘茶園で製茶され、お寺でかわいい缶入に入って販売される。量も少なくて、缶の図柄が人気の鳥獣戯画とあってすぐに売り切れてしまう。

おととしにうかがったとき、お寺の方が「偶然出てきたんや、あんた運がええね」と出して下さってラッキーだったこのお茶を岩田式で淹れた。岩田式は熱湯短時間で回数注ぎわけて出す香り重視の方式なのだけど、煎茶の場合はその短時間に耐えられず、香りが崩れたり、水色が濃く出てきたりする。ところがこのお茶は、多少おり感があるし熟成が進んで茶がかってはいたがたいへん透明感のある、うっすら清らかな水色だった。このうっすら、やわらかい感じをいいなと思う。「茶に大切な養分は朝の光と霧」岩茶のふるさと武夷山で、岩茶房の左能典代さんが茶人の王公経さんから聞いたそうだが、このお茶から、そんなこともあるだろうと再確認。


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