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やっぱり國友さんがつくる晩茶は良いなぁ。
味をしめ、今日もコレをいただいていました、蓋碗で。

5月末から6月にかけて摘んだ葉を蒸して2日間天日干し、焙じて仕上げたお茶で、分類的には田舎のつくりの晩茶です。ふつうこの手のお茶は煮出していただくものですが、このお茶はそんなことしなくてもよく出て、煎が利きます。それにこれだと崩れていない葉っぱのかたちや、大ぶりの葉が湯にほぐれていく様子で、つくりの丁寧さがよくわかる。

焙じるといえば焦げたような香ばしさを引き出すほうじ茶が浮かびますが、国友さんの焙じは、山茶に閉じこもっている香りを引き出すような焙じ。お日様にあたっていいところまで上がっている香りのもとを、ちょうど葉っぱの表面ギリギリまで追い込んでいく。メイラード反応一歩手前というか、お茶のもともとの質が残って凝縮されている感じ。この手のお茶は煮出していただきますが、そんなことしなくて煎が効くのはも、おそらくはこの独特な焙じ方によるものだと思います。

蓋碗で淹れると、その大ぶりの葉が湯にほぐれていくのが見え、つくりの丁寧さがよくわかる。乾いているとはかなく薄っぺらいように見えるのに、湯を通せば水を得たお茶(?)。ふっくらと力強く、さすが初夏の葉です。5月末といえば山の上とて高知ならくそ暑い陽気、炎天下でよくこれだけきれいな葉っぱでお茶にできたものだと感心します。徳島の阿波番茶も岡山の美作晩茶も、葉っぱを摘むというよりガサガサっと扱き採る感じで収穫するもの。でもその方法ではこんなにきれいな葉っぱにはならない。崩れた葉や茎の太いの、粉なんかも混じってくるはずです。それはそれでよさがあるけれど、国友さんの晩茶はやっぱり別物。サッパリしているのにボディは強く舌の根を刺激して、同時に山茶の香りが鼻から抜け出ていく。繊維質系の甘さもうすく、まとまりとして全体にシャープな印象のお茶。山茶の田舎づくりのエッセンスがしっかり届くお茶です。

「手がかかるのもそうですが、暑い中の作業がキツく、摘むのと天日干しのタイミングもあって、必ず毎年つくれるものではないんです」以前伺ったとき、國友さんはそんなふうに言っていた。残りわずか、心していただいています。

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