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寒いような春の日々続いている。あちこちから新茶の声も聞こえてくるけれど、しばしのがまんで今日は美作晩茶飲みながら仕事!これ先月出店したオクラフェスタでは評判で、香ばしくてあったまる、サッパリとした、しかも滋味あふれるお茶なのです。

岡山の美作は県の内陸、東にあって、そこはのどかな田園の里です。岡山市内を流れて瀬戸内に注ぐ旭川を河口から源流の真庭まで遡上したことがあり、その時は備前の国のゆったりした風情をとても好ましく思ったもの。残念なことにお茶畑には行けなかったものの、津山まで来れば茶山もちらほら見かけたし、なんといっても道の駅などではお手頃価格の晩茶が1キロ2キロの大袋でどんどん、と並んでいたんだから、なるほど備前は晩茶の里、ということはよくわかった。


この美作晩茶は特長的な作り方をします。お茶摘みは春ではなく夏の土用。わざわざ暑い日を選ぶのは、摘んだお茶っ葉を釜で煮て、筵に広げて天日で干すから。一年で天気の安定するこの時期が一番いいわけ。

煮たお茶っ葉は炎天の陽差しの下でジリジリ干されながら、お茶のエキスが濃縮された茶色い煮汁をかけられる。その煮汁を乾いては吸い込み乾いては吸い込むので、お茶はてかてかと輝いて仕上がる。これを保存して土瓶で煮出しては年中の普段使いにいただくのもいいけれど、この状態だとエグ味、収斂味も強く、焙じていただくのがいいのです。出来上がりの姿がまた黒々、風格あり……

おいしい村でいただいている美作晩茶は強めに、というか強く焙じてあって、その強さで夏の茶葉の生命力を鎮めて、味わいは静か。色濃く出が良いのは揉んでのことではなく、水の力、太陽の日差しでお茶がほぐれて煮汁が生かされているからで、これも美作晩茶の特長です。粗い、逞しいようなつくりの中でも焦げ臭はまったくなく、ギリギリお茶の力を殺していない、お茶の滋味を感じられるお茶になっています。

出し方は、急須なら長め(5分ほど)に出していただけるし、しっかりいただくなら、ヤカンなどに水から茶葉を入れて沸騰して10分ほど。茶葉は100gあたり1gを目安に、お茶パックに入りやすいように崩してまとめて入れます。写真はその状態。お茶パックは出来上がりのあとも入れっぱなしで大丈夫。半日ほど浸出させると茶水は黒々、これまた良い味わいで、なんとプーアールの熟茶のような風情に落ち着いてくる。濃いんだけれどアイソトニックというか、体との親和性が非常によいお茶と言えるでしょう。

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