塩と高血圧

食べものの中で最も大切なのは「塩」と「水」

やまゆり生協さんなどで開催させていただいているナチュラルフードワークショップという食材別連続講座は、必ず「塩」から始めています。

講座の要点は
・塩は塩味をつけるものではなく素材の味を引き出すものでありミネラル補給源である
・人間の体と塩の関係
・どんな塩を選ぶか(塩の製法について/世の中にある塩を食べ比べる)
・塩だけで料理するテクニック 塩蒸し・塩煮・塩スープetc

といった内容でお話をしつつ、料理させていただいています。

「塩」のお話をさせていただくと必ず聞かれるのが「医者には減塩と言われますが…」というお話で、その浸透具合たるやものすごいものがあります。「塩はたくさん食べてはいけないと思ってました…」という方もよくいらっしゃいますね。

「塩」は「高血圧の原因」なのか、ということについては、塩の専売制の時代、自然海塩が手に入りにくかった時代と関係があります。さらに、現在の厚生労働省のHPでも原因がわかる高血圧は全体の1割もないと書いてあります。原因がわからない高血圧患者のうち、食塩をとると血圧が上がり減塩すると血圧が下がる(食塩感受性)人は4割、食塩をとっても血圧が上がらず減塩しても血圧が下がらない(食塩非感受性)人が6割だそうです。

「高血圧」の基準値は1987年の旧厚生省の基準では上が180未満、下が100未満でいわゆる正常値で、当時の高血圧症の患者数は170万人。その後に基準値はどんどん引き下げられ、2008年からスタートした上が130未満という基準を上回る日本人は約2700万人。20年あまりで高血圧症と診断される人が約16倍に増えたのです。(現在は140に変わっています)

私は医者ではないので、個々人の方の食事指導まではできませんが、基準値そのものがどういう根拠なのか曖昧な割には、基準値を超えた=高血圧患者という診断になり、ご自身が体調が悪くないにもかかわらず減塩しなくてはいけないと思い込んでいく、という図式もあるように思います。

減塩しすぎることで食事をおいしく感じなくなり、食べても満足感がない、結局は食べ過ぎる。まともな塩を食べていない、あるいは塩を減らし過ぎることでミネラル欠乏になり、飢餓感が増しやはり食べ過ぎる。なんとなく体調がすぐれない、という状態は食べもの以外にもストレスや環境、体質、運動などさまざまな原因があり、塩を減らしたということで解決するどころか、かえってミネラルバランスが狂っていく可能性も含んでいます。

まずはまともな自然海塩を使い、味噌や醤油、油をきちんとしたものに変える、次にできるだけ手作りする(加工食品はどうしても夾雑物を「削る」必要があるのでミネラルは減る)、できれば野菜も農薬や化学肥料を使わないものを選ぶ、という順番になるかと思います。人間はほんらいは不要な塩分は排出する機能があるのですから、若い方は特に、まずは塩から始めて食全体を変えてみて、それでも体に異常を感じるようなら医者にかかる、という順番でも遅くはないと思うのですが。。。もっと、自分の身体の感覚を取り戻して信じるようにしないと。

講座に出ていただいた方の実感として「試食の量が少なく見えたけど、とてもお腹いっぱいになりました」というお声が多いです。やはり、ミネラルやその他の栄養や食物繊維を損なわない食べものは、よく噛むという効果もあいまって、少量でも満足感があるのだと思います。

<参考文献>
「日本人には塩が足りない!―ミネラルバランスと心身の健康」村上 譲顕
「医者に殺されない47の心得 医療と薬を遠ざけて、元気に、長生きする方法」近藤誠
「水と塩を変えると病気にならない」新谷 弘実
「医者いらずの食」内海聡
他にもいろいろあります~

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31. 10月 2014 by oishii-mura
Categories: 暮らし&こども, 食材&料理について | Leave a comment

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