磯村家のキッチンから

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横浜山手、名門女子高の丘のすぐそば、小さな小さなジャム屋さんがある。
「磯村家のキッチンから」といういっぷう変わった名前。
その小さな工房で、季節が巡るごと、
宝石のようなジャムを生み出しているのが、磯村恵子さんだ。

…シゴトの取材なので具体的なことはさておき…

お話を伺うほどに、ジャムは、奥の深い食べものだ、と思い始めた自分。
色の出し方、止め方、舌触りのど越し、糖度、粘り具合、味わい、香り。
恵子さんのジャムの場合は、全体の空気感まで、吟味の範疇だ。
いちご、りんご、キウイ、だいだい、柚子……年間で生み出されるジャムの種類は約20ときいた。
季節を追いながら、旬の味覚を製品に仕上げていく。つくり方は素材ごとにすべてが違う。
果肉のつぶし方、煮加減、皮を使うかどうか、何通りもの仕上げが考えられるだろう。

いくつか試食させていただいた。
これはキウイ、これは橙、と迷いなく鮮やかな味わいで、
ピタッと決まっているというか、それぞれにその素材の持ち味、個性が備わっていることがわかる。
なんて説明、試食の瞬間には浮かばなくて、実際は
「あっ」…「あっ」ってな具合で、ひとつひとつ、笑みがこぼれるおいしさ。
ウソじゃなくて、自分が知っている今までのジャムで一番おいしいジャムであった。

人間は味わいを楽しめる動物だったんだヨ、感じることができた自分がうれしい、
なんて思うほど、喜ばしく”気づき”にあふれる味わい。
気難しいときの自分がいたならきっと、
「ワインの多様さのように、味覚と精神が交感する味わい」
~なんてすっとんきょう迸らせてたかもしれず m(_ _)m

素材がもともと備えている持ち味を、ジャムから学んでしまう味なのですね。。
恵子さんは果物それぞれの「良い持ち味」を引き出す術を知っている方なのだ、と確信した。

思い浮かんだのがターシャ・テューダーさん。
四季それぞれの花がとだえることなく咲き連なる、
彼女が手入れした美しい自然の庭園をご存じだろうか?
グリーンサムという言葉があるが、磯村さんは、食でその才能を花開かせた方のようだ。
テューダーおばあちゃんの才能が花にとどまることなく植物のすべてに及んだように、
実は、恵子さんのまなざしもまた、食のすべてに広がっている。
それはまた別の話として、僕も勉強しにいきます。…

ジャムの詳細は、磯村家のキッチンから、を見に行ってくださいね!

Posted on 土曜日, 1月 21st, 2012 at 1:17 AM

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