上勝の阿波晩茶、葉っぱをたくさん詰め、熱い湯を満たして夏の新茶をいただく。

このお茶はまったくの生茶で、樽漬けから天日乾燥を経て、100℃近い熱に晒されるのは、お茶をいただくその時が初めてとなる。開く香りには、火力で乾燥させるお茶とは異なる機微があって、文明以前というか、プレ様式美というか、とにかく作為から遠い香り。

とはいえ、肥培管理や発酵、乾燥、選別の工程のどれもにつくり手の流儀や工夫があり、おいしい阿波晩茶はそう多くはない。グルジアのワインのように、上質は利けばわかるもの。酵母が媒介した葡萄の内実がワインなら、この晩茶は乳酸菌がチャノキの内実を媒介してくれている。

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