手づくりのすすめ

手づくりのすすめ



 

自分の本の中から1冊だけ選びなさいと言われたら、
たぶんこの本を取り出します。

「手作りのすすめ」自然食通信社編 1987年発行
手元にあるのは初版4刷のもの。
もうカバーもなくなって背表紙も焼けて、
台所で見ているせいかあちこちにシミも。

1981年に共同購入運動の情報交流誌として創刊された「自然食通信」。
その連載をまとめた本ですが、各地の手作りの食べもの作りの技を取材し、
宮代一義さんの版画で表現しています。
独特の紙面には、イマドキ流行りの美しい料理写真はありません。
よくよく見て想像力をはたらかせないと、作る段になって困ることもあります。
でもこの表現こそが、じーっと読み込んで、何度でも読み返す魔力を持っているのです。
春の酒まんじゅうに始まり、味噌、糀の作り方、パン、夏の豆腐、梅干し、
秋冬の柿酢、醤油、水あめ、麩、キムチ、ハム・ベーコン…
今ではすっかり買うのがあたりまえになってしまった食べものが、
ほんのひと昔前までは、暮らしの中で作られていたものだということがわかります。

たとえばこの中のひとつでも自分で手づくりしてみると、
改めてそのおいしさを感じると同時に、
「この手間は大変だあ」と昔の方の手まめさに感心します。
「なかなかプロが作ったような味にはならないなあ」と
パンはパン屋さん、豆腐は豆腐屋さんのへの尊敬の念が増します。
工場生産された食べものとの味の違いを再確認したり、
実にさまざまな気づきがあります。

私はもともと手を動かして何かを作るのが好きなせいもありますが、
道具を使ってものを作ることは人間が人間であることの根源だと思うのです。

手作りこそ上等、と気負う必要はないのですが、
食べものを作る楽しさ、そして少しの大変さを感じることで、
毎日あたりまえに買えば食べものが手に入ることが
いかにありがたいことかわかります。

昨年の大震災からもうすぐ1年。
いろいろなことがありました。
震災直後、店から商品が消えても私はあまり困らなかった。
それはこの本のおかげかもしれません。
なんだって作ろうと思えば作れる。
電気やお金に頼らなくたって生きていける、
そんな暮らしや人間の強さを教えてくれる、古くて新しい一冊です。
(みき)

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Posted on 木曜日, 3月 8th, 2012 at 11:19 PM

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