急須のご縁

松風

 

ご縁があって、萬古焼松風窯、山本健二さんの急須が僕の手元にある。

急須には特段興味を抱いたことがなかったのだけど、心の隅では気になっていた。
その扉を開くと、こりゃ時間とお金がいくらあっても足りまへん。
のめり込むタイプでもあるので、半ば自戒の気持ちも働いていた。
縁を結んでくださったのは、続・茶的空間の徳田志保さん。



 

 

 

この急須、まず軽いし持ちやすい。
そして窯変というのか、独特の光沢。
まずは一杯いれてみようと、普段は飲みつけない煎茶を。

暑いけどまだ大丈夫程度の暑さ、じっとしてても多少は汗ばむような夜、
60℃120秒と指示のある、石部商店の石部健太朗さんのところで冬に購入した築地やまかい。
手摘みの高級なお茶を指示通りにして、この急須で…

よしず越しにふっと吹き抜けた微風に涼しさを受けつつ、
茶水はとろっと、ただひと滴の裏漏れもなく、ぴたり杯に落ちた。
波風もなく小舟が浮かんでる西伊豆の入江みたい、
静かで、この温度なので湯気も立たず。

…もうここまでで、お茶もそうだけど、この急須の優秀さが沁み込み始め、
左の脳はびんびんと「急須大事じゃん」の信号を発し。
続いて香り、そしてつつっとその雫を喉に落とした。
おっ、煎茶おいしいじゃん…
お茶ってこういうことがある、それは極上の時間だったのでした。

そんな話を徳田さんに伝えると、この急須は釜炒り茶とか中国茶に合うとのお話し。
へぇそんなものかと、過日お誘いいただいたお茶席で伺ったポイントは2つ。
この急須は、中をのぞくと、細かく穴が穿たれた陶製の茶漉しがけっこう上についていて、
いれるときは傾け過ぎず、茶底をかきまわさず、茶水の上を通すようにするのがいいそうだ。
すると茶水はすーっと茶漉しを通り過ぎ、注ぎ口の下、小ぢんまりふくらむ喉仏を、
うまくころがって空気を含み、おいしくなって、杯に落ちるそうだ。

この話がなんとなくわかる。
釜炒り茶や中国茶は、その香りをどう開かせるかが気になるところ。
僕なんかはいれ方にムラもあって、いつでもうまくいれられていない気がするのだけど、
土の質もあるだろうが、おそらくこの2つが、香りに直接関係している。
そしてまったく裏漏れしない、躾の品良さ。

いい急須に出会ったのかもしれないなぁ……

さて、その後にわかに急須が気になって、急須を購入したお店にふたたび。最初に伺ったとき6,7点はあった松風はなんとSOLDOUT。で、常滑は杉江弘隆さんのまあるい急須にご縁を結んだ。
そうそう、茶融心酔の富田直美さんの記事から、この急須の作者である山本健二さんの弟さん、山本広巳さん著「急須の話」という本を知り、これを発行した古橋稔さん、萬古のおひざ元、四日市の瑞穂商店伊藤啓子さんより購入させていただいた。実は間違えてお2方にお願いしてしまい、手元に3冊。しかも在庫がもうないのだそうだ。なんだか申し訳ない。独り占めのつもり毛頭ありませぬゆえ、ご入用の方はご連絡をくだされば実費でお分けいたします。(終了しました)
この本はまた別途書きたいと思うが、たぶん何度も読み返す本になる予感がする。

急須の縁、おいしいお茶の時間を頂いた徳田さん、石部さん、富田さん、古橋さん、そして伊藤さんに感謝です。FBでは気恥ずかしく、さわがしいので、こちらにてお伝えさせていただきました。

お茶は深いなぁ
まとめたくなってきた(^_^;)

●関連記事:

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高知の旅…ヤマチャがたくさん
Posted on 木曜日, 9月 6th, 2012 at 3:07 PM

…… , , , , , , , , ,

 

Responses (4)

  1. いちよう より:

    偶然です。

    今日日本茶インストラクターの機関誌を読んでいて、山本広巳さんの急須の話を読んだところです。(次号にも続きます)

    私は常滑急須が好きで、常時使っているのも常滑です。

    オープン時購入したのは石部商店さんのささ目の常滑急須でした。

    常滑焼きはセッ器と呼ばれるようで、中国宜興の流れだそうです。
    煎茶と中国茶(ウーロン茶・プーアル茶に向く)にはセッ器がよく合うと思っています。

    • oishii-mura より:

      いちよう様

      そうだったんですか。石部さんは山本さんとは古いお付き合いだそうですね。
      お茶の生産者さんもたいへんですが、急須をつくる方々もたいへんだと。
      ちゃんとした急須が減っていくことも、意識して深刻にとらえないといけないなと。

      いろんな必然が重なってくるのかもしれないです。

  2. 外山紘三 より:

    もう、市場にみあたりませんね。急須の話と或る茶人が某茶舗での茶器蔵出しセールでお仲間に広めたせいかな?

    • oishii-mura より:

      銀座のお店では、情報広がるスピードと、さささーとお店から消えちゃった迫力感じました。ネット上はどうなったんでしょうかね、ちょしさんは1つゲットしたことblogに書いてましたが(^_^;)

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