よみがえりのレシピその2

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種を受け継ぎ守人々の姿をとらえたドキュメンタリー映画「よみがえりのレシピ」。この前の試写会に続き、15日は大地を守る会主催のトークイベントに参加した。

映画「よみがえりのレシピ」のダイジェスト版を見て、この映画を巡るお話しを、渡邊智史監督を囲んでざっくばらんに、という趣向のイベントで、おしゃべりのゲストが知っている方ばかり。イタリアのスローフード運動に詳し、今回の映画にも関わった島村菜津さんは、ノンフィクション「スローフードな人生」の著者。相馬一廣さんは映画の舞台である庄内で38年有機農業を進めてきた生産者組織、月山パイロットファームの代表者だ。
渡辺監督のお話しをもっと詰めて聞きたかったし、しばらく会えてなかった菜津さんにも会いたかった。相馬さんは僕も何度もお伺いしお話しを聞いてきたが、最近すばらしいお茶の本を出したIさんから、昨日相馬さんに会ったヨと(!)な連絡も来て、すでに気持ちは盛り上がっていた。

 

この作品は、タネを守る人々のポートレート集を、と思って企画した。
以前は、自分が普段食べている食べものには全く無関心だった。ところが、農業が工業化していく問題を取り上げたような映画作品を観て、その無味乾燥さに驚いた。野口種苗研究所の野口勲さんには、遺伝子組み換え作物のお話しを聞いた。農家が昔から守ってきたタネを、企業が奪っていくのは、間違っているのではないかと思うようになり、そんなことを考えているときに、自分の生まれ故郷で進んでいる、山形在来作物研究会の取り組みを知り、これは残さないといけない!とムラムラきた。この地で種を守ってきた方々の思いを残さないと、何か本質的なものが失われると思った。
撮影を進めていて、庄内地方はつい最近まで食糧に事欠いてきたと土地だということを実感し、気づかされていった。焼畑は、山に火を入れる夏に、田畑の豊凶を見越して作物を決め種をまく。私達は311を経験して、自分たちが普段食べているものは、いつなくなってもおかしくはない、ということを知った。映画は、そんなことも含めて、描いていった。
(舞台トークにて。渡辺監督「映画作りのきっかけ」)

 
お話しは淡々と進み、それはそれで面白かったが、結論から言うと、この映画は見に行ったほうがいい、の一言に尽きてしまう。人々の結びつきが広く明るく、そしてとてもおいしそうな、在来野菜を食べたくくなってしまう映画。大切な「タネ」が、人が守らなければ絶滅することが事実として伝わり、じんわり愛おしく、気持ちとして沁みこんでくる映画なんですから。

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右から島村菜津さん、相馬一廣さん、渡邊智史監督、大地を守る会の秋元浩治さん



 

 

 

 

 

 

 

 

 

さてもうひとつ。

このトークイベントの当日資料に、主催した大地を守る会の長谷川満さんと、故・江澤正平さんの、「在来品種のおいしさ、種を残す意味」と題した対談のコピーがついていた。長谷川さんがやけに若いナァふーん、と思いつつ、これどこかで読んだなぁ、と帰宅。blogを書こうと、自分が在来種を気にし出した頃のことを回想し、「がぶり」という雑誌を取り出したら、あったあった、資料は大地を守る会の幻の情報誌『がぶり』8号、1998年1月のものだった。

この記事に触発され、当時所属していた食品宅配会社で「種蒔く人」という企画商品をデビューさせ、その後生産者団体の事務局として在来種調査に取り組み、その過程で島村菜津さんにも出会い、ひいてはスローフードジャパン「味の箱舟プロジェクト」を担いもした、とても思い出深い情報誌。廃刊になって久しいが、全刊持ってるのも自慢で、この冊子をひと通り読めば食を巡る様々な問題のほぼすべてがわかっちゃう。10年後の2008年は、菜津さんに協力してもらって出した『らでぃ~』という情報誌も、やはり良い雑誌は幻になるということで(笑)。

もとい。この古い対談資料に、大地を守る会という組織の層の厚さを感じた。食事会も終えた帰り道、監督や菜津さん、そして企画をされた大地を守る会の秋元さんほか、銀座の街を歩いた。「あの資料はよかったですね」と秋元さんにふったら「そうなんですそうなんです」と喜んでいた。

今、新しいかたちで「在来種」が見直され始めている。若いみんなが、良い心をもって関わり、取り組む姿はホントにすばらしい。ただ、こういうことも、監督が在来作物から救荒という歴史の事実に気づかされたように、先人からの積み重ねの上にある。世代を通した継承が大切と思うのだ。古い物語でもちょっと目先を変えて食べやすくすることはカンタンだし、消費して忘れることもたやすいだろう。在来種の取り組みが、そういうことのないように願うし、その意味でも、この映画のすそ野の広さ、奥行きの深さをすばらしいと思うのだ。また、今回の企画をした大地を守る会が継承する価値と、この映画が誕生したゆりかごとも呼ぶべき山形在来作物研究会にも、拍手を贈りたいと思ったのでありました。



 

 

 

 

 

 

 

 

 
よみがえりのレシピ公式サイト http://www.y-recipe.net/
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山形在来作物研究会 http://zaisakuken.jp/

 

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Posted on 月曜日, 9月 17th, 2012 at 8:16 PM

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