鎌仲ひとみさんと奏でるミツバチの羽音と六ヶ所村ラプソディ~鎌仲監督のお話と映画

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2月9日上映された映画は2本

「六ヶ所村ラプソディー」
六ヶ所村には全国から運び込まれた使用済み核燃料からウランとプルトニウムを取り出す工場があり、2004年にはウラン試験が開始され、本稼働に向けて準備が進められています。

作品に登場するのは、チューリップの観光農園を営みながら反対運動を続ける菊川慶子さん、隣町で無農薬米を作る苫米地ヤス子さん他、工場に勤務する作業員、廃液汚染の被害を受ける漁師たち、村会議員、原子力安全委員会の委員といった人物たち。
住民は賛成と反対、中立に三分されています。大気中に微量の放射性物質が放出されることで農作物に被害を受けている農家の人々はこの現状を憂いており、一方で実害を受けない多くの人々はこの問題をそれほど深刻に捉えていません。職と補助金を貰って事の成り行きを傍観するだけ。立場が違えば意見も異なる。これが現実です。

印象に残ったのが、原子力安全委員会の斑目春樹氏(当時)の「最後は金ですから‥」という発言。金で解決するのが一番手っ取り早いということは、多くの住人にとっての本音なのでしょうか。
また、チューリップ農園の菊川さんの「いつもいつも反対運動のことばかり考えていると疲れちゃうから、生活を楽しむことも同時に考えたい」という言葉も胸に刺さります。北の厳しい大地で生計を営みつつ反対運動を継続する、楽しむことを忘れては辛すぎる。終始明るいパワーにあふれていた鎌仲監督にも通じるものを感じました。
もっとも心に響いたのは苫米地ヤス子さんの「原発に中立はない、中立でいることは賛成していることと一緒である」という言葉。そう、無関心は最大の罪。

「ミツバチの羽音と地球の回転」

山口県瀬戸内海に浮かぶ小さな島、祝島。豊かな海と自然の恵みと共にある暮らしを営むかたわら、島民の漁師やおばあちゃんたちは対岸に持ち上がった上関原発の建設計画に30年近く反対し続けています。
島の青年山戸孝さんは、生業のひじき漁やびわ栽培と反対行動に追われる日々の中で島の自立のためのエネルギー自給を考えています。
一方、電力の自由化が進むスウェーデンでは、風力、バイオマスなどの自然エネルギーを選択することもできる社会になりつつあります。あるスウェーデン人は、日本では電力は選べないと聞くと「Why not?(なぜできないの)」と首を傾げます。
40年以上、原子力を推進してきた日本でもスウェーデンのような地域分散型の自然エネルギーを普及しようという動きは始まっています。
祝島での、上関原発用地の埋め立て認可を問う議会、建設作業に対抗して船が湾に集結し、住民が座り込みをする姿。持続可能な暮らしとは何なのか。日本は議論をする土壌すら失われようとしています。
一人一人が声を上げても何も変わらなかったのではないかと思う反面、やはり自分は何をしてきたのかと自問自答。あきらめたら終わりで、一人がもう一人に語りかけることで理解者を増やす、その小さなエネルギーが集まっていくことしか、未来につながる道はないと思いを新たにしました。
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鎌仲ひとみ監督のお話

六ヶ所村、もんじゅなど、核燃料サイクルと、それが破たんしていること、原発から出る劣化ウランが恐ろしい兵器として使用されていること。頭に既に入っているようで、改めて話をうかがうとそのリアルさがひしひしと感じられます。

チェルノブイリと比較しても、日本は本来非難すべき地域にずっと人を住まわせていること、過去の教訓を何も活かせていないどころか、情報を隠蔽して見殺しにしようとしていること…

内部被ばくの基準値についても参加者から活発な質問が出ましたが、「毎日1bq/kg以下でセーフであると考えること」、東京は住んでいて大丈夫なのかという問いには「食べものに気を使えば住めないレベルではない」とのこと。

聞けば聞くほど気持ちが暗くなるような内容ばかりなのですが、終始鎌仲監督は明るいパワーにあふれていて、「目の前のことを一生懸命対処したり伝えたりしていくしかないんだ」とエネルギーをいただきました。
坂本龍一氏が原発問題について「伝える内容と同じくらい伝え方が重要」と言っていたことを思い出します。難しい問題こそしかめっ面で伝えてはいけないのですよね。
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イベントスタッフのこと
このイベントを主催した宮崎眞さん。町田市出身、元ミュージシャン。現在は奈良に住んで自給的な半農半Xの暮らしを目指している青年です。不思議なリズム、味わい(笑)のある人。岡田桂織さんのご縁で初めて出会い、イベントにむけて一緒に動いてきました。自分も仕事があったりでイベントのこと以外あまりゆっくり話す時間もなかったのですが、彼のストレートで落ち着いた人柄もあり、一人の想いがまわりに伝播していくさまは、それ自体が希望だと感じました。3.11以降、それまで感じていた原発や政治に対する危機感がつのり、猛勉強したとか。一時期は家族親戚から「何かの宗教にはまったのか」とまで疑われたそうですが、丁寧にコミュニケーションされてきたのでしょうね、当日はご兄弟が家族連れでいらしていて、今では一番の応援団でいてくださるようです。

まわりをサポートしたのは彼の音楽友達とその仲間。おそらくは私のひとまわりくらい年下ではと思われるのですが、ミュージシャン、デザイナー、美容師、多才で個性的な若い面々が、楽しそうにかつ真剣に取り組んでいる空気感がとても素敵でした。
「自分も味噌作ろうと思ったー」などと若い彼らに言ってもらえて、ああ、このイベントに加わってよかったのだなと安心もしました。

この日は奇しくも東京都知事選挙の日。イベント終了後、打ち上げが始まったところで「舛添氏当選」を確認。「あー」という落胆とともに「悔しいけどこれが終わりじゃないから」という声。その場にいた全員が宇都宮氏支持だった(笑)。

あきらめたら終わり、伝えるには時間がかかる、でも明るく未来を語っていこう、もうそれに尽きる。
新たな日々の始まりです!

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16. 2月 2014 by oishii-mura
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