豊かさとは何か

yutakasa

 

「豊かさとは何か」。副題「人間らしい生活を求めて」。農文協編で1974年初版の第4刷。年季の入った並製本で時代を感じる。

高度成長真っ盛りの日本は、農村も変容の一途。新幹線や道路網が次々に整備されていく中で、大規模化・機械化・単作化が進んで、小規模自給農や、地域自給的な農村経済が崩れていった時代。そんな時代に警鐘を鳴らした編集子の苦悩が伝わってくるような構成だ。

かつての農村コミュニティに人間らしい生活や本当の豊かさを求めるというスキームは、今の時代にもしっかり受け継がれていて、それは不変の価値観と言えるが、大事だなぁと思うのは、そこが文化の根っこにあたるということ。

農村コミュニティとは、一面では、自然と人が自給的に補完しあい充足している場ということで、必ずしも農村である必要はない。そのような補完と充足を求めていくことが、この本のテーマに近づくことでもあるのだと思える。

それは、都会で手づくり的な暮らしをしたり、より自給的な補完関係を結べる消費、その生産が自然を傷つけない消費を選択しながら、自然を慮ること。充足というのは、知足ということだろう。

このような暮らし、消費は、かなり充足的だ。できる範囲、家族でいろいろやってみて気づくのは、季節の恵みの豊かさだ。全く飽きることなく、いつもいつも、季節を心待ちにしている自分たちに気付く。季節を追うごとに、日々の楽しみが、永遠に続くように思えるのだ。

この本を教えていただいたサンスマイルの松浦智紀さん。ありがとうございました。

Posted on 日曜日, 9月 9th, 2012 at 11:27 PM

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