熊本の釜炒り茶農家さんを訪ねた。
もう4回目でも茶摘み時期に伺ったのは初めてで、
「青柳」と呼ばれる釜炒り茶の製法を教えていただいた。
茶を蒸すのでなく鉄製の釜で炒って作る釜炒り茶は、
これまで九州から四国、紀伊半島にかけて多くつくられていたが、
高度経済成長期以降、効率の良い蒸し製の製茶方法に押され、
釜炒り茶の本場と謳われた佐賀嬉野地域ですら「釜炒り茶保存会」が発足するほど、
衰退の一途を辿ってきた製法だ。
自分がそんな流れをレポートしたのは2008年のこと。
知ってか知らぬか、その後復活の兆しも見え、
各地の心ある茶農家が新しく取り組み始めているとも聞くが、
いかんせん効率との折衷路線、蒸しの工程の後、
釜香をつけるために申し訳程度に釜で炒るものなど、
なんだか蒸しの煎茶に遠慮しながら作っているようなものばかりが見受けられる。
釜炒り茶は、釜香と呼ばれる、釜炒り茶特有の芳しい香りが身上、
蒸し製の煎茶に比べあっさり、何杯でも飲める「暮らしの茶」。
ただし、廃れていっただけに、まともな製法の釜炒り茶、
手間暇の面では蒸し製の自動機械の10倍とも20倍とも聞く。
今回はまさに、その手間閑ご苦労の多さを目の当たりにした訳だが、
だからこその類希。心の底からおいしい、と思えるホンモノの風味を、今に伝えていました。
細かい説明はさておき、取り急ぎ写真のみでごかんべん(^_^.)