桑の実のこと

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神奈川県は今、桑の実が旬です。山奥でもなく、都会でもないような土地柄で、季節を感じさせてくれる自然の細やかなあらわれにはちょっと遠く、でもちょっとだけはしっこにいるよな場所で、桑の実は心待ちにする季節の使者。

桑の実、昔は蚕のエサとしてさかんに栽培されていたそうだ。シルクが輸出産品としてたくさん売れていた頃、桑畑は珍しくはなくて、それならばそのころの人たちはさぞ桑の実を楽しんだいたのだろうと思うとそうでもなかったらしい。この季節にがぜん食欲が増す蚕のために、桑の木は生えても生えても刈り取られるのだから、実をつける余裕などこれっぽっちもなかったと聞いたことがあった。桑の実たべて手も口も真っ赤に染めた思い出は、養蚕が最盛期を過ぎてからのこと。桑の実は、見向きもされなくなった桑畑や、畦畔の桑の木が実らせていたというわけです。

そうそう、桑の実のことを「どどめ」という。そこから来た「どどめ色」。桑の実はなんといっても摘んだそのままを食べちゃうのがいちばんおいしいと思うけれど、なりふりかまわず、手も口も真っ赤に染めたその色や、熟した実がぼとぼとと木の下に落ちて、あまり美しくない色。むごたらしいような肉感的なイメージもついてまわるけれど、季節のなかにあることを思えばそれも愛嬌。

桑の実は生食用に大ぶりな栽培品種が育成されてきてもいるけれど、商業化には程遠いようだ。栽培適期が短すぎ、ちょっとふれただけでてが「どどめ」色に染まるほど、傷みやすい。これでは広域流通はおろか、道の駅でのエリア限定販売すら難しい。桑の実は商売とは無縁の果実ということで親近感もあり、桑の実が実れば単純にうれしいし、梅雨前の今のこの季節というのがまたいい。

小満の初候は蚕起食桑というけれど、この現代、そこに群がる昔なつかしのオジサンオバサンは爺起食桑。季節の運行はキラッキラの暦通り。天気予報も平年とか前年比とかよりも、暦便覧との比較をしたらよいと思ったりするのです。

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Posted on 水曜日, 5月 27th, 2015 at 2:43 PM

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Responses (2)

  1. […] 相方が近所で収穫してきた桑の実の話 ちょうど今は暦の上でも桑の葉が最も生い茂り、実がたわわになる季節です ここ1~2年は飛ばしてしまったような気もするので、ひさしぶりの桑の実しごとです。 ジャムにするのに軸をとるかとらないか。桑の実はあんがいしっかり軸についており、軸だけをとろうとすると、ぜんたいがくずれてしまうのですね。 でもジャムにするとこの軸の口当たりが悪い…ということで根元のところでプチプチと爪で切ってみました。 ジャム一ビン分の軸をとるのに30分。肩こったーもうやだー来年はやめようー 桑の実の25%くらいの甜菜糖でジャムに。桑の実そのものは、ほんのり甘いだけで酸味もなく、ちょっとぼやんとした味です。ペクチンもないので煮てもサラサラ。なのでレモン汁と粉寒天少々を加えて仕上げます。 今回は、ちょっと奮発して桑の実ジャムと桑の実、下には米粉クリームの詰まったタルトを作ってみましたー。ジャムにちょっと甜菜糖入ってますが、バター卵はナシです。 最後は、残した桑の実で酵母を起こします。ほんのひとつまみだけ砂糖入れたけど、一晩たったところで泡が出始めています。暑いせいもあるけど早い。野生の酵母でパンを焼くの、楽しみだ! […]

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