夏ですねぇ。ところてんを食べた。特にいきさつのようなものはなく、連れ合い主宰の「ナチュラルフードワークショプ」のお題がところてんだったので、実験というかリハーサルというか……。
ところてん周辺のことを整理すると、まず原料は天草と書いて、テングサ。紅藻類テングサ科 Gelidiaceae の海藻で心太(ところてん、と読む)、寒天の原料になるものの総称だそうです。あまり考えてこなかったけど、へぇと思ったのは、ところてんと寒天の違い。テングサを煮溶かしてつくるのがところてんで、寒天は、ところてんを寒干ししたもの。
へぇそうだ、記憶は蘇る。寒天の産地のことだ。海ではなく、海からいちばん遠い(と思う)山の中。伊那地方が有名じゃないだろうか。工業的につくる現代であれば場所など選ばないだろうけど、その昔、寒天をつくるに一番の要件は、海の至近さではなく、冬の寒さだった。沿岸地方で採集、乾燥させたテングサを川沿いに運び込んで、寒晒し。上質な天然の寒天には、天然フリーズドライに最適の極寒と、乾燥が欠かせなかった。その好適地が、天竜川の中上流にたる伊那だった、というワケですね。
へぇそうだったんだ、知らないことっていっぱいある。テングサ煮汁の最初(一番しぼり)からは、まず成分が濃い寒天用のものをつくる。そして、ところてん用には二番しぼりがいいのだそうだ。連れ合いがつくった一番しぼりは、たしかに、固いのだ。あの透明なぷるるんとしたところてんが、箸にまとわりつかずがんばってるというか、パスタでいうところのアルデンテというか。おいしそうに写っている、写真のところてんは一番しぼり。一番しぼりでところてんを食せるのはわが家だけ?ぜいたくなもの。これに対して、後日食した二番しぼりは、おおこれぞところてん!といったふにゃっと感で、黒蜜にきなこというくずもちスタイルで食!これまたいい触感だったのだよ!
テングサからつくるところてんは、てんぐさのあるところで、てんぐさから煮出してつくったものが本来、ということになるかな。市販のものは、寒天を溶かしてところてんにする場合がほとんどだろう。しかし、のど越しいいねぇなどと、ツルっとひと口ふた口で終わってしまうわりには、手間がかかりそう、というか大変だ。
参考:ねっこ「ナチュラルフードワークショップ・寒天(海藻)」
Posted on 土曜日, 7月 13th, 2013 at 5:43 PM