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今年はご近所の畑のあぜみち茶、畦畔茶をほんのちょっといただいて、お茶を作ってみているが、そろそろお茶っ葉も大きく、硬くなってきてもうシーズンも終わりかというところです。

お茶のつくり方はとてもシンプルで、熱をかける、揉む、乾燥するという3工程だけ。

熱をかけるのは、殺青といって、生葉に含まれる酵素を失活させるため。これをしないとあとで変敗したり、イヤなにおいが出てきたりする。揉むのは、葉の細胞膜をやさしく破壊することで、茶の成分を沁み出させるため。これをするので、後の乾燥の工程で成分が濃縮される。だから、揉んだお茶は急須に熱湯を注ぐだけでお茶が出る。

お茶を「揉む」というワザは、は15,6世紀前後に鉄の釜で炒る「釜炒り」の製法の中で確立されていたそうで、急須とセットで大陸からもたらされ、日本にも広まったという。煎茶で急須を用いるのは、釜炒り茶の「揉む」工程を継承しているから。たいした発明だ。揉んでつくるお茶以前は、土瓶で沸かして煮出して、成分を浸出させていた。今でも、揉んでいないタイプの番茶などは、沸かして煮出すでしょう。沸かして煮出すのって、それはそれで味わい深いけれど、面倒だし、お茶の青々しさは失われる。

揉んだあとは乾燥。いちど乾燥させたお茶は何年でももつ。保存性を獲得するだけでなく、乾燥のさせ方、さらには一歩踏み込んで、仕上げの火入れ、焙煎という工程が加われば、お茶の香味は変幻自在。おいしいお茶ほど新茶ではなく、時を経たものだったりするのも、この乾燥に関係している。

茶道では「口切の茶事」といって、5月に摘んだ碾茶を茶壺に納め、11月まで寝かしてからいただくそうだし、昨年伺った土佐の山里では、その年摘んだお茶を翌年のお正月までとっておいて、仏様に供える風習が残っている。釜炒り茶では確かに、しっかりと乾燥が利いて良く寝かせたお茶は、落ち着きが出ておいしい。熟成するから。

写真はこの春のもの。ちゃんと乾燥できているかは覚束ないが、ほどよい秋までしまっておきます。

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