久しぶりの投稿です(^_^;)
お茶のシーズンがまた1年巡って春。茶生産者もソワソワしているだろうなと思いつつ、飲んでる自分も、あの新茶のフレッシュな香りを思い浮かべてはソワソワ、最近はそんな感じ……
今少し、高知の昔のお茶について調べている。勉強になるのが松下智先生の著書。先生は1953年から半世紀にわたり日本の茶の起源を探るべく日本全国を歩きまわり、その記録を何冊もの本に残している。その中で、「ヤマチャ」という存在がある。ヤマチャは山茶。昨年9月、岐阜県春日で開催された在来茶シンポジウムでは、あのべにふうきを育種開発した武田善行さんも参加され、その中でヤマチャを定義づけておられた。いわく「ヤマチャ(山茶)とは、山間地に古くから自生している茶樹で、人間の関与が明確でないもの。天然生茶樹、自生茶などとも呼ばれる」……。
高知県では、東端の安芸郡の山地に始まり西端の幡多郡に至る山間地のほとんどがヤマチャの生育地となっていて、松下先生は著書『幻のヤマチャ紀行』で、「これだけ広くヤマチャが分布する県も珍しい」と評している。そのほぼ中央にあたるのが吾川郡仁淀川町、いの町のあたり。国友農園は、まさにその奥山にあって、ヤマチャでのお茶づくりを今に伝えている。
……ということで、国友農園さんの「長春花」というお茶がおいしい。春に手摘みした自然生えのヤマチャを一日ゆっくり萎凋して釜で手炒りして、秋まで寝かせて仕上げたという、ていねいなつくりの釜炒り茶。中国原産のバラから名づけたそうで、国友農園の國友昭香さん、なぜか山の里で見かける花と言い、確かに春日の山でも見つけていた、そんな花です。
お茶はその名の通り、ふっとたちのぼる花の香りが一瞬華やかでうれしくなる。そして奥ゆかしく茶水に溶けて、茶に心を戻す。今日の夜は、そんなお茶飲みを3煎4煎と楽しみました。時の巡りに感謝。
松下智著『幻のヤマチャ紀行』