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日がたってしまい失礼。でも記念すべきお茶の報告なのです。

10月下旬に届いたお茶はわずか3グラム。袋を開くと、小ぶりで黒い葉にゴールデンチップ-金芽-がのぞいている。手摘み手揉みの紅茶。忙しい合間を縫って秋もぎりぎりに摘んでこさえた貴重なお茶。九州熊本、松本和也・里実さんから手摘み手揉み、名づけて桜野園秋の芽スペシャルです。

小さく真っ黒い葉はしっかり揉まれ、きちっと発酵されている。1回分しかないので、手順は温めたグラスの200ccの茶海に熱湯で1分から時間をおいてすすって行こうと決めた。ニコニコニヤニヤ……

1煎1分め、オレンジ色の水色。浸出わずかなうちから茶水が甘い。ミントのニュアンス含みの蜜香系です。出るのはこれから~5分、香りは抜け良くスッと香る。ミントやハーブ系の香りが表面から漂う。しっかりタンニンが出て、ワインで言えばフルとミディアムの中間ぐらい。果実の香りにナッツがからむような、ムッとは来ない。ルビー色の透明も美しい。

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~ちびちび10分、出がよくて濃い。ほのかにクローブのような香りが来る。この紅茶は濃くても透明、タンニン凝集なし。うへっ!と来ない。口中もすっきりで飲み進むのが楽しい~と、さすがにここで湯を差す。余韻のある味わいはまだ続く。うすまってちょうど良く、フレッシュな香りのニュアンスというか、いろんな香りがほどけてきて何回も楽しめた。~もう終わりかなと約30分経過、茶海に出きった葉の香りは樹脂系とブランデー系。おお…

時間での変化が面白く、それだけ彫りの深さのあるお茶でした。ムレ感のなさは元の木の素材、そして作り手のウデでもあります。……国産じゃこんなの飲んだことなかったよ!


お茶を業として考えた時、盆過ぎまで続く休みなしの作業をおして、手摘み手揉みのお茶をつくるのは現実的じゃない。日本のほとんどのお茶農家はそう考えます。そんななかで、常識を少しずつでも崩していこうと、独り立ちのころから無農薬有機栽培で、おじいさんの代からの在来茶園を守り続けてきたのが桜野園の松本和也さん。かなり早くから無肥料栽培に取り組み、お茶の丸い香ばしい仕上げには定評がある。そこらへんの何故?を正面から聞いたことはなかったけれど、いつもお茶の試作には余念なく、時々試作品を送ってもらったり、そんな少量の取り組みをしようと話もしてきた。

そんな彼がべにふうきの苗を植えたのが4、5年も前のことだろうか、言葉少なの彼が「この木で紅茶つくります」と期待を寄せていたことを思い出す。ウデを上げたというか、ウデを隠していたのか、このお茶飲んで、彼が抱え持ってきたお茶観が不意をつき、一本つながって伝わった気持ちがする。人のことながら我が意を得たりでうれしいのです。

そこを押したのが里実さん。父ちゃん今回すすっと踏ん切ったのもナイスタイミング。一歩出ました。これまでがあってこれからが新しくはじまる。価格がとれるお茶が作れるなら、そういう売り先を見つける。こりゃ面白いことになるよきっと!

「私の中では、歴史的な、はじまりの日」
この記念すべきお茶のお話、blogで里実さんが綴っていて、これがまた良いのです。
お茶で一福、心ふぅわり 桜野園

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