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國友さんが提案されているヤマチャのいただきかたを試してみた。これがなんとも楽しい。

りぐり山茶をロンジン茶のように飲む

茶葉を温めた茶杯に置き、熱湯を注いで、ゆれる葉っぱを眺めながら、少しずつ変化する香り、葉の姿を楽しみながらいただく。急須や茶壺は使わない。何煎も何煎も楽しめて、次第に茶が茶水に、清らかな水に同化していく感じを、道具を介さない分、よりストレートに感じる。しつらえもシンプルにできるので、席もすっきりしていい感じがする。清らかな葉っぱで、こもった臭みはまったく出ない。ほんのり甘い香りから、若草、茶の香り、根の香り、煎が進んで茶水にすっと入り込む甘みが差し込み、喉の奥で感じられ、さいごは石清水、自然に還っていくようだった。身体や後頭部の重ったるさも来ず、温かく沁み込んで、こめかみ、胸のあたりに、なぜか熱い感覚が来る。國友さんいわく、ミネラル感というものかもしれません。

言葉で説明するとややこしい感じだが、要は湯呑に茶葉を直接入れて、そこにお湯を注いでいただくということ。中国では大きなマグカップで、何回もお湯を足してはふうふうと飲んでいる。けっこうくだけている。

お茶はご存じヤマチャの自然生え。有機栽培なだけでなく、たしか肥料も与えていないと。春が来れば株に仕立てたヤマチャの叢から手摘みされた茶葉を、2人1組の熟練さんが丁寧に手炒り、秋までゆっくり寝かせて火入れして仕上げている。日浦山という山の自生茶で、より野生に近く育てたものだった。2012年の密蘭香という。山で摘んだ茶葉が竹籠のなかでゆられて、ほんのり自然な萎凋となる。以前、國友さんご本人から伺ったお話しが、はるか昔、武夷山で烏龍茶が誕生した逸話と重なる。著作家の平野久美子さんは、このエピソードから、お茶は人間の知恵だけでなく、天の力、地の力を借りてお茶を作るのだという中国の人々の謙虚な気持ちが伺える、と書いている。美しいロマンをまとったお茶だナァと思う。

杯にゆれる葉も、ほんのわずか紅がかかって、美しかった。
この茶山のすぐ下には、透き通った青の、美しい小川が流れている。
静かに静かに、いただきたいお茶。あの小川の水でのんでみたいなぁ~

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